保育士の「どうしよう」に答えてみる

保育士として働いていると、「こんな時どうすれば?」という時がありますよね。そんなときにちょっと使える情報を集めてみました。

保護者におすすめ絵本を聞かれたときに答えたい「保育士のおすすめ」【その2】

前回は、保護者の方に「おすすめの絵本ありますか?」と聞かれたときに答えたい絵本を3つご紹介しました。

今日は、残り2つと、おすすめする絵本を選ぶ時のポイントについてご紹介いたします。

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世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ

世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ(くさばよしみ編集/中川学絵)出版社:汐文社

2012年ブラジルのリオデジャネイロで環境悪化による地球の未来について話し合う会議がありました。世界中から集まった各国の代表者がスピーチをしましたが、名案と呼べるものは出ませんでした。

そんな会議も終盤に差し掛かったころ、南米ウルグアイの大統領がスピーチのために登壇しました。

その姿は実に質素でネクタイもしていませんでした。彼は世界でいちばん貧しい大統領と呼ばれるムヒカ大統領。

小国であるウルグアイ大統領のスピーチにほとんどの人は関心を寄せていませんでした。

しかし、そのスピーチを聞き終わったあと、会場中は割れんばかりの拍手喝さいが起こりました。

給料の大半を貧しい人のために寄付をする。公邸には住まず、町から離れた農場で奥さんと花や野菜を育てながら住み運転手付きの公用車ではなく古びた愛車を自分で運転して公務をこなす大統領。

ウルグアイの人々は親しみと敬愛をこめて彼を「ペペ」と呼んでいます。

貧しいこと、お金がないことは本当に悲しいことなのか。彼のスピーチは今の社会に一石を投じるものとして、多くの賛同を呼びました。

心が豊かであることとは何なのか、考えさせられる一冊なので、保護者にぜひオススメしたい一冊です。

すてきな三にんぐみ

すてきな三にんぐみ(トミー・アンゲラー作/いまえよしとも絵)出版社:偕成社
子どものころ、疑問に思ったことも大人になると何となく分かったような気になっていること、ありませんか?

お金や宝石はどうして必要なのか。

大人になった今、この疑問に答えられますか?

絵本では三にんぐみの泥棒が全国の孤児のためにお城をプレゼントするストーリーとなっています。お金って、どうして必要なの?どうして欲しいのか気づくと、また世界観が変わるのかもしれませんね。

保護者のかたにオススメする絵本を選ぶコツ

他にも、保育園ではたくさんの絵本を読んでいますよね。

その絵本を保護者の方に紹介するときに、どんな目線で絵本を選んだら良いのでしょうか?

そのコツは2つあります。

まず1つめが「読み聞かせが簡単だけど子どもの反応が良いものを選ぶ」ということ。保護者の方のなかには、読み聞かせになれてない方もいます。

表現力が必要な絵本などでは、読み聞かせのやりかたがおはなしの面白さを大きく左右しますので、「あまり反応がよくなかった・・・」となるものも。普段よみきかせをしていて、「簡単だけど楽しんでくれるな」というものにしましょう。

2つめは、「どんなシーンで読み聞かせをしたいか?」ということを事前にきいておきましょう。盛り上がるお話を寝る前によむと、興奮して寝れなくなるということもあります。生活シーンのうち、どんなときに読みたいのか、というのを聞いてからおすすめするようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか。絵本は子どもだけでなく、大人も楽しめるとても素晴らしいものです。なかなか読む機会がない保護者にはぜひ保育士から素敵な本を紹介してみて下さいね。

保護者におすすめ絵本を聞かれたときに答えたい「保育士のおすすめ」【その1】

保育園の教材といえば、やはり絵本です。

保護者の方にも「家で読むのにおすすめの絵本はありますか?」と聞かれたことがある保育士さんも多いのではないでしょうか?

導入や入眠時など、様々な機会に読む絵本ですが、絵本というと子どもばかりに目が行ってしまいがちですよね。しかし絵本は子どもと保護者のスキンシップにはとても良いアイテムです。

読み聞かせだけでなく、保護者も絵本を読むと、自然と子どもも絵本を手に取って見る機会が増えるので、子どもだけでなく親にも絵本を進めてみて下さい。

仕事で忙しい中でも、絵本なら10分かからずに読むことが出来ますよね。ぜひ、保護者の方にもおすすめできる、大人の心にも響く絵本を紹介します。

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おおきな木

おおきな木(シェル・シルヴァスタイン作・絵/村上春樹訳)出版社:あすなろ書房

小さな男の子はおおきな一本の木が大好きでした。おおきな木も少年が大好きでした。

しかし少年は成長と共におおきな木から離れていきます。時々、戻ってきてくれる男の子をおおきな木は喜んで迎えますが…

少年とおおきな木。

その関係は自分と子ども?もしくは自分と親?切ないほどに感じる木の深い深い愛情にこみあげてくるものが必ずあります。

愛情とは見返りを求めないで与え続けるもの。深い意味を持つ物語を絵本で楽しめます。

しばわんこの和のこころ

しばわんこの和のこころ(川浦良枝作・絵)出版社:白泉社

古の時代から、日本で大切にされてきた「和」の心。

日本文化ってこんなに奥が深くて、そして素晴らしいものなんですね。

そして古き良き知恵は、和やかな心になれるものばかり。親が読んで、是非とも子どもたちへ伝えて欲しいそんな一冊です。

登場する柴犬のしばわんこと三毛猫のみけにゃんが織りなす物語は、読んでいて癒されること間違いなしです。しばわんこシリーズとして続刊があります。

100万回生きたねこ

100万回生きたねこ(佐野洋子作・絵)出版社:講談社

100万回生きて100万回死んだ猫がいました。

王子の猫、船乗りの猫、手品使いの猫。

色んな飼い主に飼われました。猫が死んだとき、飼い主は泣きました。

でも猫は悲しくありませんでした。ある時の猫は誰のものでもない野良猫でした。

そんな猫は一匹の白い猫に恋をします。

自分が好きな猫は、自分を振り向いてくれなかったので、猫は…。

100万回死んでも泣かなかった猫は、愛を知って、家族を得て、そして失って初めて泣くのです。

人を愛するとはどういうことなのか。子どものころに読んだことがある人も多いと思いますが、大人になって読むとこれほどの深い意味の本だったのかと驚くことでしょう。

愛と死とを描いた普及の名作です。

まとめ

いかがでしたか?

次回は引き続き、私が保育園で保護者の方にオススメしてとっても反響が高かった絵本と、おすすめする絵本を選ぶ「コツ」についてご紹介いたします。

保育士のADHDと子どものADHD、どう対応する?

12月5日更新!(子どものADHDへの対応を追記しました)

 

発達障害のひとつであるADHD。

今では社会的に認知され、家庭や保育園、小学校で問題児とされる子どもはADHDと診断されることがありますね。

私たちの子どもの頃は、それほど耳にする言葉ではなかったですよね。

そのため、大人になってから、職場でミスばかりしてしまうなど、人が当たり前に出来ることが自分には困難に感じて、自分はADHDではないかと悩んでいる人がいると言います。

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「もしかして?」意外と多いADHDの子ども

ADHDは、「不注意、多動性、衝動性」の3つの障害を持っているとされていますね。

子どもの頃は、女児より男児の方が多いと言われています。

元々、子どもは不注意であり、多動であり、衝動性の強いものです。

でも度を越して、「手を焼く子ども」「やんちゃ過ぎる子ども」「問題児」と言われ、そのまま成長すると社会に適応できずに二次障害に繋がりそうな子どもは、適切な対応が必要と考えられるようになりました。

 

女児のADHDは見過ごされやすい

女児の場合は、衝動性や多動性が表面に出ない場合が多く、ADHDと気づかれずに見過ごされてしまうことがあるようです。でも脳の中はいつもせわしなく動きまわり気が散っている状態です。

音や光りなどに機敏に反応してしまうこともあり、ひとつの遊びに集中できない、人の話が聞き取ることができないなど、一見して落ち着いているように見えても、子どもの頭の中はいつも困っている状態です。

「発達が遅れている」「ぼ~っとしている」「言葉の理解力が遅い」と言われたり、その子どもの個性と思われながら成長していくことが多いようです。

 

学童期のADHDは親や先生に怒られることが多い

学校に入ると、忘れ物や遅刻が多く、宿題を忘れて怒られることが多かったりするでしょう。授業中、お喋りを何度注意されてもやめられない、友だちが話している時、空気を読まずに口をはさんで、その場をシラケさせていたかも知れません。そのため自分でも気がつかないうちに、仲間はずれや苛めにあうなど悲しい思い出があるかも知れませんね。

 

保育士はADHDの子どもにどう対応したら良い?

保育士として働いていると、ADHDの子どものクラスを担当することがあると思います。その時の対応方法についてまとめてみました。

ADHDの子どもの保育は「じっくり」がポイント

一番大切な保育のポイントが「あせらない」ということです。どれだけ効果的な方法でも、すぐに効果がでるということはありません。

同じ方法を何回もためして、何週間も、何ヶ月も立つ頃に効果が出て来る、という方法もあります。

特に、あとでお話する「子どもと保育士との信頼関係」は一朝一夕で出来るものではありません。「じっくりと根気よく向き合う」という姿勢を忘れないようにしましょう。

 

また、ADHDの敏感な子どもにとっては、入園式直後やクラス替え直後など、4~5月中はまわりの環境の変化や騒がしさについていけず、とっても不安定になる時期でもあります。

5月中旬くらいから落ち着いて取り組めたらよし、と考えることも必要です。不安定な時期にある子どもには、強制的に取り組ませたり、慣れさせようとするのは逆効果。

色々対応策を考えても効果の出にくい時期ですので、まわりの様子を把握している時期なんだな、とじっくり取り組んでいきましょう。

ADHDの子どもには、順序を「目で」教える

大人も子どもも、ADHDをもつ人は「物事の流れが最初にわかっていないと不安」という気持ちがあります。

「とりあえずこれをやっておいて、その時々で次やることを考えよう」というのが苦手なのです。

保育園では、次なにをやるかというのは、「お外にでようねー」「ごはんだから手を洗おうねー」という先生の声掛けで切り替わっていきますよね。これが、ADHDの子どもにとってはパニックになる原因にもなります。

そのため、登園してきたら、「今日何をやるのか」という順番を教えてあげましょう。

このときにポイントなのが、「目で理解してもらう」ということです。子どもなので、文章や口頭でいうのでは混乱してしまいます。小さなボードと絵を書いたマグネットを用意しておいて、「今日は、これをやるよ」と見せて理解してもらうのが良いでしょう。

(「お散歩」も、同じ行き先に行くお散歩なのに絵が違うと混乱することがあります。なので、毎日同じ絵を使える「マグネット」を用意しておくと良いのです。また、行き先が違うのに同じ絵を使うと混乱する場合もあるので、その子の様子をみて、用意するものを増やしていきましょう。)

子どもと保育士の「信頼」を築く

保育園でパニックを起こさず過ごすのに大切なのが、「子どもと保育士の信頼関係」です。

思った通りにならないときに叱ったり、手を引っ張って強制的につれていく・・・などすると、信頼関係がなくなり、どんな取り組みをしても改善されなくなってしまいます。

信頼関係を築くには、「約束を守ること」と「たくさん褒めること」が重要。

「これができたら、◎◎しよう」という約束をしたら、必ず守るようにしましょう。また、子どもがうまくできなかったときには、「△は出来たよね、すごいね」と出来たことを褒めるようにしましょう。たとえ失敗したとしても、次回頑張って取り組んでみよう!という気持ちになってくれます。

著者

保育園で働いています。保育士歴10年以上。

 

まとめ

いかがでしたか?

ADHDの子どもの保育には、「子どもたち一人ひとりを尊重する」という基本的な保育の視点に立つことが重要です。

保護者の方から「うちの子、よその子たちと様子が違うみたい・・・」と相談されることも多いADHDですが、正しい知識を身につけるようにしましょう。